雪の中、美しく咲いていた家の前の桜は

緑豊かな葉桜になって

同じ雪の日に咲き始めた

木香薔薇は咲き続けている。

 

ハナミズキとツツジもどんどん開花し

日々変化を知らせてくれる。

 

花を眺めながら、そろそろ蝶々も出てくるかなと

思ったその瞬間に

アゲハ蝶が目の前に飛んできて、笑ってしまう。

 

この街には、25年近く住んでいるから

何処に何の花が咲くか知っていて

それを見る為に、近所をただ歩く。

 

今の時期はクレマチスが満開になり、

藤の花が咲き始め

羽衣ジャスミンの香りが溢れる。

 

マスクをしていても、はっきりわかるほどの香りに

また一人で笑ってしまう。

マスク、ありがたい(笑)

 

今はなき東京の実家は

羽衣ジャスミンに覆われていた。

 

この香りは

一緒に咲いていた色とりどりの、庭を埋め尽くすような石楠花

壁に美しく絡まるクレマチスの美しい花と葉

2匹の犬も父もまだ生きていた頃の

色んな記憶を運んでくれて

幸せな気持ちにしてくれる。

 

花は

動けないから、逃げることもできない。

暑い日も雪の日も、凛として

ただ在る。

枯れる時でさえ。

 

人は

動ける体があるのに

動こうともせずに文句を言う。

いつか訪れる死に怯えて。

 

人も

花のように生きたらいいと思う。

死は怖くない。

肉体の死は

美しいサイクルに過ぎない。

 

 

あなたと

私に言う。

 

失敗や

死を怖れる暇があったら

今を

生きたらいい。

私達にできる事は

驚くほど多くて

そして

 

残された時間は

驚くほど少ないから。